【エポックカー図鑑】Vol.03 ホンダ・エディックス ~3人×2列の6人乗りレイアウトを採用したコンパクトミニバン~

2018.02.05
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かつて「エディックス」というクルマがあったのを覚えているでしょうか? 2004年~2009年にかけてホンダが生産していたコンパクトミニバンです。正直、「あまり印象がない」という方もいるでしょう。実際にエディックスは、ヒットにめぐまれず1世代限りで生産を終了した、どちらかといえば不人気モデルでした。

しかし、クルマとしてはデキが悪かったといえばまったくそうではありません。エポックであったがゆえに、大衆の心を掴むことができなかった不運のクルマだったといえるのです。


3席×2列のV字シートレイアウトが最大の特徴

epoch_dictionary_v3_02 エディックス20X(2004年)

「背の高いシビック」のような「幅の広いフィット」のような不思議なスタイリングのエディックスは、ミニバンでありながら3列ではなく、「3人×2列」というユニークなレイアウトを採用していたことが最大の特徴。そのためボディサイズは、全長4285mm×全幅1795mm×全高1610mmと「短く幅広い」、一見するとミニバンに見えないスタイリングを持っていました。

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特徴的な「3人×2列」シートは、「3人がけのシートが2列」ではなく「3席×2列」であることがポイントです。すべての席を独立させた上でセンターシートにロングスライド機構を設けることで「V字シートレイアウト」とし、3人が並んで座っても窮屈な思いをすることなく乗できると同時に、展開時のエアバッグとの距離を確保することができるため、フロントにチャイルドシートを設置することを可能としていました。

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デビュー当時のプレスリリースには「人数や互いの関係によって思い思いにポジションを変えることで風景や話題を共有し、前後席の一体感も生み出せる新しいコミュニケーション空間を創造した」と記述されています。ちなみにエディックス(Edix)という車名には、「ひとりから6人まで楽しさを思い思いに編集(edit)することができる6(six)乗りミニバン」という意味を込めた造語とのこと。

デビュー当初は、1.7Lガソリンエンジン+4ATと2.0Lガソリンエンジン+5ATの2つのエンジンが設定され、それぞれにFFと4WDを設定。価格は170万円~220.5万円(税抜き)でした。


しかし、時代は3列シートを求めていた

ミニバンに見えないスポーティなスタイリングに「3×2」レイアウトを持って2004年にデビューしたエディックス。しかし、すでにホンダにはステップワゴンやストリームという3列シートミニバンのヒットモデルがあり、トヨタ・ウィッシュやさらに広い空間を持つトヨタ・ノア/ヴォクシーなどの人気も高まっていた時代です。

epoch_dictionary_v3_05 ストリーム アブソルート2.0L(2003年)

エディックスのコンセプトはなかなか受け入れられず、販売は低迷。2006年にはマイナーチェンジを実施し、1.7L/2.0Lだったエンジンバリエーションを2.0L/2.4Lに刷新するなどしますが、「背高系ミニバン」の人気が高まっていく中で販売が上向くことはなく、2009年に販売終了となりました。

今、人気の高いホンダのコンパクトミニバンといえば「フリード」ですが、この初代フリードがデビューしたのは、エディックスが販売終了となる前年の2008年こと。一般的な3列シートレイアウトに改められましたが、フリードがエディックスの実質的な後継モデルといえそうです。

販売の上では成功しなかったエディックスですが、そのコンセプトやスタイリングは今でもまったく古く見えないですよね。もしかしたら、生まれてくるのが早すぎたのかもしれません。斬新な発想で大ヒットとなることもあれば、受け入れられない場合もある。エポックカーは表裏一体。クルマ文化の発展の中で、こうした数奇な運命を辿ったエポックカーがたくさんあることを忘れてはいけないのです!

text by 木谷宗義+Bucket
photo by 本田技研工業

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