【エポックカー図鑑】Vol.12 トヨタ・プリウス ~世界初の量産ハイブリッドカー~

2018.12.25

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「21世紀に間に合いました。」

そんなキャッチコピーで初代プリウスが発表されたのは1997年の年末のこと。小さな車体でしたが、自動車業界に与えた影響はとても大きなものでした。

その理由は、世界ではじめて量産され市販された、誰でも買うことができるハイブリッドカーだったから。ハイブリッドとは「雑種」を意味する言葉で、クルマでは2つ以上の動力源を持つタイプが「ハイブリッドカー」と呼ばれます。

02 03初代プリウス(1997年)

それまで、クルマはエンジンの力だけを使って走るのが常識でした。しかしプリウスは、動力源としてエンジンだけでなく、モーターの力を活用するのが従来のクルマとの大きな違いであり、未来を感じさせるポイント。発表から2か月後となる1997年12月の発売開始は、未来が現実になった瞬間といっていいでしょう。

エンジンとモーターが「苦手」をフォローし合って高効率に

プリウスをはじめとするハイブリッドカーがエンジンとモーターを活用する理由は、効率を高めるためです。ガソリンエンジンは速度が高い走行での効率はいいのですが、速度が低い走行時のエネルギー効率は優れません。そこで、まったく異なる特性を持つモーターを組み合わせることで、エンジンとモーターで苦手な部分をお互いにフォローし合って、システムとして高い効率を実現しようというわけです。

04 05初代プリウス(1997年)のインテリア

また、エンジンは一般的に減速時に発生するエネルギーを捨てています。しかしハイブリッドカーは、減速時にモーターを逆回転させることで発電(エネルギー回収と呼ばれる)。発電した電気でバッテリーを充電し、加速時に役立てることで高効率な走りをするのも特徴です。その結果、ハイブリッドカーは、エンジンだけを搭載する従来のクルマには真似できない優れた燃費を実現できたのでした。

ハイブリッドカーを“普通のクルマ”にした功績

そんなハイブリッドカーも、価格が高くて誰にも手が届かない商品だったとしたら、それは普通の人にとっては関係ない話で終わってしまいます。しかし、世界初の市販ハイブリッドカーとなるプリウスは、なんと215万円からという身近な価格を実現。そこには「ハイブリッドカーを“普通のクルマ”として一般に広く普及させる」というトヨタの強い決意が詰まっていました。

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とはいえ、1997年末から2003年夏まで販売された初代プリウスは、当時まだ特別な乗り物だったことは否めません。先進性を求めての商品選びをする人たちにこそ熱烈な支持を得たものの、「ハイブリッド」というこれまで経験がなかった未知なるパワートレインへの不安もあって、一般的なクルマ選びの選択肢に入ることは少なく、年間販売台数は最大で2万台程度でした。

その後、モデルチェンジした2代目になると、燃費の良さが受け入れられて販売規模を拡大。3代目がデビューしたのちの2010年には、年間の新車販売台数ランキングにおいて首位を獲得するまでになります。それは、ハイブリッドカーが一般化したことを意味する出来事でした。

072代目プリウス(2003年)

今ハイブリッドカーは、ごくごく当たり前の乗り物となりました。そしてハイブリッドカーがさらに増えていくことは間違いありません。しかし、その扉を開いた初代プリウスのデビューからわずか20年ほどしか経っていません。初代プリウスは、自動車史に新たなるページを加えた1台といえるでしょう。

text by 工藤貴宏 edit by 木谷宗義

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