【エポックカー図鑑】Vol.09 レガシィグランドワゴン ~クロスオーバーSUVの先駆け~

2018.09.20

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今でこそステーションワゴンとSUVのクロスオーバーモデルは一般的ですが、その歴史はわずか20年ほどしかありません。そのパイオニアとなったのは、スバル「レガシィ グランドワゴン」。現在、ラインナップされている「アウトバック」の前身となるモデルです。

ステーションワゴンにオフロードカーの要素をプラス

レガシィ グランドワゴンがエポックメイキングだった理由は、ステーションワゴンのボディをそのまま使って車高をあげた“パッケージング”にあります。それまでSUV(当時は「ヨンク」とか「クロカン/クロスカントリーカー」という呼び名のほうがメジャーでした)と言えば、もともと背が高く作られた専用設計のモデル以外は考えられませんでした。

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そんな中、レガシィ グランドワゴンは、ステーションワゴンであるレガシィツーリングワゴンにオフロード走行用の大きなタイヤを履かせ、同時にサスペンションを変更してボディを高く上げたのです。そして、最低地上高(地面と車体の隙間)を広げることで、悪路も走れるようにしました。外観は、2トーンボディカラーや武骨なデザインの専用バンパーなどで、ワイルドなイメージを高めているのが特徴です。

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今でこそ、ボルボの「クロスカントリー」シリーズやアウディ「オールロードクワトロ」など、グランドワゴン(アウトバック)と同じ方法で仕立てられたクロスオーバーSUVは、数多く存在します。しかし、グランドワゴンの登場が1994年だったのに対し、ボルボのクロスオーバーモデルの先駆けである「V70 XC AWD」のデビューが1997年、アウディ・オールロードクワトロの登場が1999年と聞けば、スバルの商品企画がいかに時代の先を進んでいたか、またジャンルを作り出したグランドワゴンの誕生が、いかにライバル勢に影響を与えたかが理解できます。

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ちなみに、新車販売は終了していますが、日産のステーションワゴンである「ステージア」や「アベニール」にも、車高をあげたクロスオーバーSUVが用意されていました。トヨタの「アクア クロスオーバー」など、乗用車をベースにしたクロスオーバーSUVスタイルのモデルも、グランドワゴンの登場やヒットがなければ生まれなかったでしょう。

「アウト」「バック」はイメージがよくない?

レガシィグランドワゴンは、マイナーチェンジやモデルチェンジで「レガシィ ランカスター」「アウトバック」と名称を変え、現在も「アウトバック」の名でラインナップされていますが、日本市場以外で販売された輸出モデルは初代から「レガシィ アウトバック」と呼ばれていました。

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どうして海外では「アウトバック」と呼ばれていたモデルが、日本では「グランドワゴン」や「ランカスター」と別の名前だったのでしょうか。実は、日本市場への投入にあたって、富士重工(現スバル)社内で「『アウトバック』では『アウト』や『バック』などネガティブな響きの言葉でイメージがよくない」という声が上がり、日本だけ名前を変えたのだそうです。

また「ステーションワゴンをベースにリフトアップしたSUV」というこれまで世の中になかったジャンルの商品を開発するにあたっては、社内でも「こんなの売れない」という意見も多かったと聞きます。しかし、実際にふたを開けてみると、北米で大ヒットしてたちまち人気車種になりました。すっかり風向きが変わったスバル社内では、「実はあのアイデアを最初に考えたのは私」という人がたくさんいたそうですよ(笑)。

text by 工藤貴宏 edit by 木谷宗義

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