【豆知識】フィットのご先祖様!?背高スタイルを確立させたホンダ・シティ

2016.09.13
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フィットといえば、言わずと知れたホンダの人気コンパクトカー。2001年に初代モデルが登場し、燃費のよさや背の高いワンモーションフォルムによる広大な室内で人気を得ているクルマです。でも、それより以前に、フィットのご先祖様と言えるモデルがありました。それが、1981年に登場した「シティ」。それまであった常識を覆した、現在まで続くコンパクトカーの礎と言えるモデルです。


画期的な“背高スタイル”が呼んだ人気
初代シティは、1981年11月11日に登場しました。「シビック」がモデルチェンジによりボディサイズが大きくなったため、小型車ニーズに応えるサイズのクルマが必要になりました。

しかし、「ただニューモデルを作ればいい」という考えはホンダにはありません。当時は、車高を低くしてクルマをスポーティに見せることがトレンドでした。しかし、初代シティは、コンパクトであるがゆえに犠牲になっていた居住性を確保するべく室内高を大きくし(1470mm)、結果クルマの全高も高くするという逆の発想を仕掛けたのです。

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ホンダ・シティ R(1981年)03

ホンダ・シティ R(1981年)



そしてホンダは、その新しいパッケージングを「トールボーイ」と銘打ち、荷室に収納できる原付バイクの「モトコンポ」とセットで販売するなど、ライフスタイルの新たな広がりを見せる「ライヴ・ビークル」として売り出します。

04モトコンポを収納するシティ



結果、そのコミカルで遊び心あふれるスタイルが受け入れられ、1.2リッターコンバックス(COMBAX)エンジン(※)の優れた低燃費性能なども相まってヒットモデルとなりました。

05コンバックスエンジン



※コンバックスエンジンとは……当時ホンダを代表する低燃費エンジン「CVCC-Ⅱ」をベースとして、新ファンネル形状の採用やロングストローク化などにより、さらに燃焼効率を向上したエンジンです。Compact Blazing-Combustion Axiom=高密度速炎燃焼原理の略。


韋駄天ターボモデルなど奇想天外のバリエーション展開

06ホンダ・シティ ターボⅡ(1983年)


初代シティが名車といわれる所以は、ベーシックであること以外にも楽しいバリエーション展開がなされたからです。

07ホンダ・シティ ターボ(1982年)


初登場から約10ヶ月後の1982年9月に登場したシティ ターボは、ベーシックモデルの67psから出力を大幅に向上した100psエンジンを搭載しました。しかもこのエンジンは、ただ出力を上げたのではなく、現在にも続くフューエル・インジェクション・システム「PGM-FI」を新採用し、高出力ながらも10モード燃費18.6km/L、60km/h低地走行では27.0km/Lという低燃費を実現していたのも特徴です。

08ホンダ・シティ ターボⅡ(1983年)


さらに約1年後の1983年10月には、110psに出力アップしたターボⅡが発売されました。空冷式インタークーラーが新装備され、エンジン回転数が4000rpm以下でアクセルを全開にすると、過給圧が約10秒間、10%アップし、カタログ値以上のパワーを発揮する「スクランブル・ブースト」機能が話題となりました。加えてブリスターフェンダーなどの筋肉質なスタイリングも魅力的。このターボⅡのワンメイクレースも開催され、当時の若者の注目を集めました。

09ホンダ・シティ R ハイルーフ マンハッタンサウンド(1984年)

10ホンダ・シティ R ハイルーフ マンハッタンサウンド(1984年)



ターボ以外にも、2つのボディタイプが用意されました。1982年11月には、さらに全高を100mm上げたハイルーフ仕様のマンハッタンルーフが追加に。オプションとして専用サウンドシステムのマンハッタンサウンドも用意されました。

11ホンダ・シティ カブリオレ(1984年)



そして、1984年7月には、ピニンファリーナが手がけたカブリオレも登場。4シーターで機能性が高く、車体価格も138万円と手頃なため、1989年にユーノス・ロードスターが登場するまで、国産オープンカーでナンバーワンの人気を誇っていました。


現代にも受け継がれるシティの画期的なスタイル
シティは、1986年10月31日に2代目に進化しました。しかし、初代とは打って変わってロー&ワイドなボディとなってしまい、初代ほどの人気は獲得できませんでした。初代のインパクトとイメージが、あまりにも大きかったのですね。

12ホンダ・シティ GG(1986年)



2代目シティはその後、1993年を持って生産が終了となります。1996年には東南アジア向けのモデルに「シティ」の名が復活しますが、それは2ドアハッチバックではなく4ドアセダンでした。2代目が実質最後のシティと言ってもいいでしょう。

しかし、シティのコンセプトはきちんと受け継がれていました。1996年に登場したロゴは、シティの後継車として初代を彷彿とさせるスタイルで登場。そして2001年には、ロゴの後継として、いよいよ「フィット」が姿を現します。

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ホンダ・フィット(2001年)


以降フィットは説明いらずの大人気車種となり、3代目に進化した現在はホンダの重要モデルとなっています。初代シティが開拓したスタイルは、今は名前を変えましたが、現在のスタンダードとして息づいています。


関連問題

1981年にデビューし、コンパクトなボディに室内の高さを確保したトールスタイルで、若者を中心に絶大な人気を誇ったホンダのコンパクトカーは、次のうちどれですか?

(1) シティ
(2)ロゴ
(3)フィット
(4)S800


<関連リンク>
ソアラにプレリュード…1980年代の若者が憧れた「デートカー」
http://kurutopi.jp/article/1083

世界に先駆けてマスキー法をクリアしたホンダ「CVCCシビック」の功績
http://kurutopi.jp/article/958

時代を変えた軽自動車「初代アルト」は何がスゴかった?
http://kurutopi.jp/article/1056


クレジット:阿部哲也+Bucket

画像協力:本田技研工業